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2008-03-04 (Tue) [長年日記]

#1 市川崑監督『愛人』『あの手この手』@神保町シアター

 いま神保町シアターでは市川崑特集(この特集中に亡くなられましたね)をしている。この間は代表作を見るべということで『炎上』『黒い十人の女』を見てきた。2本ともとてもよかった。


 今日は、山崎まどかさんのおすすめを見て『愛人』目当てで見に行った。これがあまりにもよかったので、その後に上映された『あの手この手』も予定を変更して観てきた。

 『愛人』はgoo映画にあらすじが載っている。あらかじめあらすじを知っていても楽しく見られる映画だと思う。両親の再婚によって兄弟になってしまう若者たちを中心にした群像恋愛劇で、観ていて思い浮かんだのはジェイン・オースティンの小説だった。セリフのテンポ・俳優の動き、背景となるボロ家まで含めて構築的。製作者の手の上で観客はあっちに行ったりこっちに行ったりさせられて、それが気持ちよくて手際のよさに惚れ惚れするのだ。

 『あの手この手』は倦怠期のDINKSインテリ夫婦の所に姪っ子のアコちゃんが押しかけてきたが、彼女がお転婆で色々物事を引っ掻き回すタイプで、いろいろあって結局夫婦の絆が深まるというストーリー。

 夫は大学教員で雑誌に小説も書いているのだが、妻は夫の小説を読んでおらず、それに対して夫はアイデンティティを傷つけられたように怒る。妻が反省して「私、仕事を辞めてもいいのよ」と言うと、夫は「働く君を一社会人として認めている」みたいなことを言って、仲直りする。でも、妻も新聞に人生相談の連載を持っていて、それを夫が読んでいるかどうかは触れられないのだ。働く妻を一社会人として認める、というのは当時(1952年)としては斬新だったのかもしれないが、共働き家庭が珍しくもない今の時代にはさすがに賞味期限切れかなと思った。

 アコちゃんも悪くはないのだけど、こういうキャラクターならもっと魅力的でなくてはいけないのではないかと思った。

 というわけで『愛人』は超おすすめ(といってもこの特集で『愛人』がかかるのは今日が最後だし、Amazon.co.jpで検索してもDVD版はなさそうなので今日のような特集企画を待つしかなさそう)、『あの手この手』は普通かな〜。

 そんなわけで2本映画を観て、せっかく神保町に来たからさぼうるかBIG BOYでお茶でも飲んで帰ろうと思ったら雨が降ってきたので、洗濯物を干したまま出てきてしまったので、あわてて帰りましたとさ。一応屋根のある所に干してあるのでそれほど濡れなかったけど。

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