2007-03-31 (Sat) [長年日記]
#1 山崎まどかのノスタルジック*ロマンティック・レクチャーII@エコール・ド・プランタン
2006年9月の第1回レクチャーがお蔭様で、とってもいい雰囲気で盛り上がり!
最新著書『女子映画スタイル』(講談社刊)、雑誌『FRaU』の連載ページ「ガールズ・シネ・ブラボー」とも人気の山崎まどか先生が、再びご登場です!前回語り切れなかった、ジャケットがとびきりおしゃれな女子向けのジャズレコードナンバーのことや、もちろん先生の視点が冴え渡る、アメリカのヴィンテージ・ラブコメディ映画から見えてくる、“ロマンティック”が美しく存在していた女性像やファッションの素晴らしさ、時代の豊かさなど、今に生きるノスタルジック・ワールドを、音や映像美を楽しみながら熱くご案内。
“女子目線”の文化を、これからも大切に。
最初に紹介したのは『巨星ジークフェルド』と『ジーグフェルド・フォリーズ』。らせん状になっている回り舞台で美女が次から次へと出てきたりとか、コラージュ的に使うという話。『ジーグフェルド・フォリーズ』に出てきたバレエダンサーは脚が驚異的に長く、当時のVOGUE編集長は彼女の脚が大のお気に入りで、一時期VOGUEの写真はモデルの脚を全部切り取って彼女の脚に変えていたとか。
ジーグフェルド・フォリーズの最後の生きているスターはDoris Eaton Travisという人。現在103歳で、歌ったりもしている。彼女の生涯は『Century Girl』(英語)という本にまとまり、これが全編手書きやコラージュからできていて、非常にかわいくてお勧め。ちなみにamazonの『Century Girl』のページでも数ページ中身を紹介しているので、見てみるといいと思う。
手書きつながりでジャクリーン・ケネディ・オナシスとリー・ラジウィル姉妹が独身時代に2人でヨーロッパ旅行をしたときの日記、『One Special Summer』。
山崎さん日記でのコメントにも以下のようにあるが、今日もこんな感じで紹介していた。
驚くのはリーの書く漫画チックな絵と文章がチャーミングで生き生きとしていることである。本格的なレッスンを受けていただけあって、姉の方がテクニックはあるが、妹の茶目っ気とカリカチュアの才能にはかなわないのではないだろうか。なりゆきで有名ソプラノ歌手にオペラ・レッスンを受けることになった時の悲惨な顛末や、パリで警官に車泥棒に間違えられたこと、客船で一緒になった老婆について、リーはこの上なくユーモラスに描く。『あしながおじさん』のジュディの手紙と挿絵が好きな人なら、きっと夢中になるに違いない。
ミュージカル映画とジャズ・ヴォーカルについて。ジャズは正攻法でマイルス・デイヴィスとかコルトレーンから入ると挫折しやすいので、女の子はミュージカル映画から入るといいのではないか。ミュージカル映画から生まれたスタンダードとして『Just in Time』という曲を紹介(歌手・映画名失念)。アニタ・オデイが同じ曲を歌ったものも聴いた。スタンダード曲に関する書籍として、和田誠『いつか聴いた歌』がお勧めとのこと。
アニタ・オデイつながりで、彼女が出ていた『真夏の夜のジャズ』*1の話。彼女はステージに出る前に靴をちょっと触っているのだが、これはおまじないかもしれない、とか。
ミュージカル映画としてさらにシャーリー・マクレーン主演の『スイート・チャリティ』*2。主人公の女性が愛を求めても求めても得られないという話。最近日本でも玉置成実主演でミュージカル化されたが、もうちょっと“とうのたった”人の方が切ない感じでいいのではないか?
さらにミュージカル映画で『求婚専科』(Yahoo!映画、入間洋のホームページ)。この映画の原題は『Sex and the Single Girl』で、コスモポリタンの編集長だったヘレン・ガーリー・ブラウンの自己啓発本からきている。タイトルで分かるとおり『Sex and the City』はこれに影響されている。
『スイート・チャリティ』『求婚専科』ともに衣装デザイナーは『ローマの休日』なども手がけたイデス・ヘッド。
好きな歌手としてジャッキー&ロイ(Jackie Cain & Roy Kral)という夫婦シンガーの紹介。レコードを集めていた。ジャケットでは、ジャッキーはいつも可愛いアクセサリーをしている。最初に聴くなら『Double Take』がお勧めとのこと。子供が交通事故で亡くなったり、平穏な夫婦生活ではなかったのだけど、そういうところも含めて好きだという。
ブルーノートやマイルスのような正統派ではないジャズの入り口としてはCTI、Verveといったレーベルがいいのでは。そのほか『(歌手名)sings Broadway』『(歌手名)sings Hollywood』といったタイトルで映画のスタンダード曲集が出ていることも多い。
このほか、『(歌手名)sings (作曲家)Songbook』というのもある。『Ella Fitzgerald Sings The Gershwin Songbook』はビュッフェの絵を使っていてパッケージや冊子がとてもおしゃれなので、お勧め。
ジャズを聴く場所としては、神保町『さぼうる』の奥にできたジャズ喫茶(名前は言っていなかったが、『BIG BOY』のことだろう)がお勧め。ジャズ喫茶というと地下にあって煙草の煙が立ちこめコワイおじさんが難しいことを言っている……というイメージがあるが、ここはガラス張りで明るい。広告会社を経営していた男性がリタイアして第2の人生のために開いたものらしい。
個人的な感想
『One Special Summer』は山崎まどかさんが日記で紹介していたのをみて私も買ったのだけど、手書きの英語が読みづらくて放置していた。あとでちゃんと読もう。
これとか『Century Girl』みたいな手書きの英語本は、見た目はたしかに可愛い。でも、英語のままでは読みづらいし、日本語版を作ろうとしても大変そうだ。センスのいい手書きにしようと思うとものすごい手間になるし、そもそも同じ筆跡というのは不可能だし、かといってデザインを諦めて普通の翻訳本にすると、大幅に魅力が落ちるし。
『One Special Summer』のジャクリーン・ケネディ・オナシスとリー・ラジウィル姉妹、特にリーのキャラクターについては、タキ『ハイ・ライフ』収録のコラム「ジャッキー・ケネディ姉妹の生きかた」が面白い。私が持っているのは河出文庫の古い版(1992年発売)だけど、いまは光文社から出ているのね。
タキはジャッキーには皮肉をこめたもの言いをしているが、リーにはむしろ同情的だ。
ジャッキーにとってなによりも幸いしたのは、現代の文化と戯れることができるという天賦の才能に恵まれたことだった。それに反して、リーの方はそれを学ぶことも、学ぼうとすることもなかった。この非順応的な態度のせいでリーは何度となく浮き上がり、嘲笑の的になってきた。
よくいわれるリーの気の強さは単なるこけおどしでしかない。有名な姉とちがって、リーのほうは、とくに有名でも金持ちでもない男と深い仲になることが多かった。また、この世界では極めて珍しいことだが、彼女は本気で恋にのめりこむタイプだった。だが、何にもまして災いしたのは、リーのなかに、自力で道を切り拓くことへの抜きがたい執着があったことだ。
(リーが女優デビューして酷評されたことについて)芝居の公演中は、たえず胃の痛みを訴え、眠れない孤独な夜を泣き明かし、幸運にも公演が終了したときには、だれが見ても、まるで三途の川から逃げかえってきたように見えたものだったが、それでも彼女は泣き言だけは口にしなかったのだ。……現在のリーはようやく自分の天職を探しあてたように見える。今は「リー・ラジウィル」というディスプレイ会社を経営して、主にオフィスやホテルのコマーシャル・プロジェクトに取り組んでいる。
リーのようなケースは珍しい。彼女のことを表面的にしか知らない人間の大半に嫌われながら、彼女に近い友人たちには愛されてさえいる。友人たちは、お金に関する噂はデタラメだということを先刻承知している。……どこかのご婦人方とちがって、リーは数百万ドルのお金でどうにか暮らしていくことをすこしも厭わない。通帳にさらにゼロの数を増やすために結婚する必要など、彼女にはいっさいないのである。
私も女性のジャズ・ヴォーカルは好きなのだけど、『(作曲家)Songbook』的なアルバムでよいのは『Chris Conner Sings The George Gershwin Almanac Of Song』。クリス・コナーが好きなので。
『Ella Fitzgerald Sings The Gershwin Songbook』も、現物を見てとても欲しくなった。でも4枚組で約9千円は高いな……。パッケージや冊子がいいのも嬉しいけど、私はCDを買ったらすぐiTunesでリッピングして、CDは段ボール箱に仕舞ってしまうので。
神保町『BIG BOY』は私も行こうとしたことがある。でも、夕方にオープンしている店の前を通り過ぎ、10分ほど経って戻って入ろうとしたら、そのあいだにCLOSEDになっていた……ということがあったきり、行っていない。ちなみに「神保町 BIG BOY」でぐぐると1位はほそのくんの日記であったよ。


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