2007-02-25 (Sun) [長年日記]
#1 『生活の設計』@東京日仏学院
今日はヨガに行ってから昨日に引き続いて映画3本。ヨガについてもいずれ書こうと思う。
現在、東京日仏学院で行われている特別企画『世界の映画と共にある都市、パリ』のシリーズの1つ。もう終わってしまったけど、『ムーラン・ルージュ』*1とか見たかったなぁ……(普通に上映していた頃に見逃した)。
というわけで概略は以下のとおり。(amazon)
『生活の設計』
(アメリカ/1933年/90分/35ミリ/モノクロ)
監督:エルンスト・ルビッチ
出演:フレデリック・マーチ、ゲイリー・クーパー、ミリアム・ホプキンス
パリ留学中の画家ジョージと劇作家のトムのふたりのアメリカ人青年は、ある旅行帰りの列車で乗り合わせたジルダという女性に同時に一目惚れする。ジルダは、肉体的接触を禁じるという紳士協定のもと、ふたりの住むアトリエに同居することになるが…
そのシャレた感覚と洗練された語り口による独特のコメディ・スタイル"ルビッチ・タッチ"が、ワイルダー、トリュフォー、小津安二郎など、数多くの監督に影響を与え、同時期に活躍していたチャップリンもそのユーモアと気品溢れる作品を讃えたハリウッド全盛期の巨人、エルンスト・ルビッチ監督の傑作のひとつ。
私より1日早く観たという山崎まどかさんが感想を書いている。可愛らしいたあいのない話だなーと思って観たけれども、なるほどこういう見方をするのかー、と思った。
ルビッチはこれと『ニノチカ』をビデオで観たくらいなのだけど、この2本で比べるなら『ニノチカ』の方が好きかな。この映画は、確かにジルダは可愛いのだが、ただそれだけというか……。
ちなみにミステリーでもないのでネタバレしておくと、上記に引用した紹介文は最初の部分までで、その後劇作家のトムは成功してロンドンに行き、その間にパリに残った画家ジョージも画家として成功し、ジルダと結婚する。三角関係が長引くのかと思ったら意外とあっさり片がついてしまい、どうなるのかと思ったらジョージが出張中にトムが帰ってきて、ジルダは浮気する。そこへジョージも帰ってきて、ジルダは「どちらも選べない」とその場から逃げ出し、彼女に思いを寄せていた別のビジネスマンと結婚する。
ジルダが結婚した相手は広告会社の経営者で、ジルダはパーティで夫の顧客とお付き合いするのが苦痛。そこで結局その夫のもとからも逃げ出してしまい、トムとジョージと「また3人でセックス抜きで一緒に住みましょ」とハッピーエンドになるのだった。要するにアンチビジネス、貧しい芸術家とわいわいやるのが楽しい女性なのですね、ということで、その辺は安易だなーと言う感じもするが、そういうことを追求する映画ではないのだろう。
*1 最近DVDが出たみたい
#2 『お遊さま』@恵比寿ガーデンシネマ
昨日見た『赤線地帯』が凄かったので、溝口健二監督のものをもっと観ねば、と今日は2本見てきた。昨日も『ラブ&ポップ』をやめれば『山椒大夫』を観られたのだから、そうするべきだったかもしれない。いや、映画好きの人にとっては「何を今更」だろうが、私にとっては初体験だったので。
溝口健二監督の映画を3本観て思うのは、せりふと画面でもって言いたいことはすべて語っているのだけど、その語りの内容がすごく濃密というか。ボキャブラリー不足でうまく書けないけど、女性の心理に注目した作品なのも私好みなんだろうなと思う。
『お遊さま』(おゆうさま)
1951年、95分、白黒 出演/田中絹代、乙羽信子、堀雄二
原作/谷崎潤一郎 脚本/依田義賢 撮影/宮川一夫 音楽/早坂文雄 美術/水谷浩 照明/岡本健一 録音/大谷巌
お静とのお見合いに臨んだ若き骨董商の慎之介は、お静ではなく付き添いの姉のお遊に惹かれてしまう。未亡人で一児の母であるお遊は、そんな慎之介の気持ちを知りもせず、お静に結婚を勧める。お静は、慎之介がお遊に惹かれていることを知り、二人の橋渡し役になることを心誓うのだった…。
谷崎潤一郎中期の傑作「芦刈」を映像化。嵐山、長谷寺といった美しいロケーションを背景に、3人の男女の複雑な感情のひだを宮川一夫の流麗なキャメラが切り取っていく。溝口健二初の大映作品で、盟友宮川一夫と始めてコンビを組んだ秀作。
また、溝口健二監督については、Wikipediaに以下のような記述がある。
田中絹代とは公私にわたる親交を育んだ。田中との親交を物語るエピソードとして、幼時から「美人ではないが(演技力がある)」という冠詞をもって語られることの多い田中に、『お遊さま』撮影に際し「あなたを最も美しく撮ります」と語ったという話がある。
この映画には最初の5分くらい遅刻してしまい、お静・慎之介の見合いで慎之介がお遊に一目惚れする(はず)という重要なシーンを見逃して深く後悔した。
お遊が日射病か何かになって慎之介が介抱するのだが、ついいやらしいことを考えてしまい、自制するために背を向けるのだがそのとき、お遊が薄目を開けて様子を伺いつつ何か思っているシーン、お静と慎之介の結婚後、お遊を加えた3人で遊び歩き、慎之介とお遊がいちゃついてしまうシーンなどはとてもいやらしくていいと思う。
というわけで私の感想としては田中絹代のお遊は「美しい」というよりも「欲望を持った生の女」(だからといって美しくないわけではないのだが、美しさとはまた別の次元の話)だと思った。
また、最後でお静・慎之介夫妻が説明抜きでひどく落ちぶれているのが引っかかる。原作の谷崎潤一郎『芦刈』にはきっとちゃんと書いてあるのだろう。
#3 『楊貴妃』@恵比寿ガーデンシネマ
『楊貴妃』(ようきひ)
1955年、98分、カラー 出演/京マチ子、森雅之、山村聰、小沢栄
脚本/陶秦、川口松太郎、依田義賢、成沢昌茂 撮影/杉山公平 音楽/早坂文雄 美術/水谷浩 照明/久保田行一 録音/橋本国雄
唐王朝の玄宗皇帝は、深く愛していた妃を亡くし失意の中にいた。側近は再び皇帝の心をとらえる女性を探すが、どんな美女でも皇帝の目には留まらない。そんな折、地方から京での立身出世を企む安祿山は、楊家の台所で真っ黒になって働く娘玉環を見初め、太真と変えさせて皇帝に推薦する。前の妃によく似たその娘に興味を持った皇帝。玉環もまた、悲嘆にくれる皇帝の気を慮り、年に一度の祭りで賑わう長安の市井へと連れ出す。
溝口健二監督初のカラー作品は、豪華絢爛の宮廷を舞台とした色鮮やかな歴史劇。白居易(白楽天)の『長恨歌』に基づいて、玄宗皇帝が楊貴妃を溺愛したために国を滅ぼしたとされる史実を背景に、あくまで一組の男女の悲恋に焦点を当てた作品。溝口は一方で美術・衣装に慎重な歴史考証を重ねながら、一方では史実にとらわれない皇帝と楊貴妃の愛を描き、美しい情感溢れる大作を創出した。
1955年度毎日映画コンクール音楽特別賞、色彩技術賞受賞
1955年度日本映画技術賞照明賞受賞
今まで見た溝口健二監督の『赤線地帯』、『お遊さま』には日本の古きよき所作・家屋・着物を見る楽しみがあったのだが、今回は中国ものである。衣装や音楽にはきっちりとした考証がされているようなのだが、日本的な挨拶やちょっとした気遣いの言葉、振る舞いの美しさというのは見られないわけで、それがちょっと残念。中国的な振る舞いの美しさというのもあるのだろうが、観る私も日本人で判断できないし日本人が中国人を演じているのでその辺は弱いんじゃないのかなー。わかんないけど。
身分は低いが「磨けば光る」娘が皇帝の寵愛を受け、その一方で反乱が起き……というのは『後宮小説』に良く似ているなー(もちろんこの映画の方が先)と思ったり、妻と仲良く人間らしい生活をしたいのにできない最高権力者の苦悩という意味では『大正天皇』を思い出したり。


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はじめまして。<br>あしあとで何度かお見かけしたので、どきどきしつつ、つい来てしまいました。(おろおろ)<br>文章、面白くて尊敬してしまいます。沢山読みたいんですけど、mixiチェック増えすぎて目が疲れてきました。紙媒体でも読めますか?<br>私もぺたぺたと時々あしあとつけてしまうと思いますが、よろしくお願いします。私のほうは、芸がなくなにも出てきませんが…。