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2006-11-02 (Thu) [長年日記]

#1文藝ガーリッシュ』千野帽子(河出書房新社)

mixiの「文藝ガーリッシュ」コミュニティより

ここまでの流れ。
2005年05月17日 コミュニティ開設。
2005年07月 《東京新聞》より連載のオファー。
2005年10月03日-12月28日 《東京新聞》夕刊文化欄に『文藝ガーリッシュ』連載。挿絵は津野裕子さん。
(略)
2006年10月2日-12月28日《東京新聞》夕刊文化欄にて、『文藝ガーリッシュ』2nd seasonを連載しています。

著者の千野帽子氏(男性)は、自身が作ったmixiのコミュニティがきっかけで、新聞に1日1冊ずつ「文藝ガーリッシュ」な書籍を紹介していくという連載を始め、それが単行本になった。現在は2nd seasonを連載中らしいが、私は東京新聞を取っていないので、こちらも単行本になるといいなと思っている。

本書はデザインが可愛い。カバーも、カバーを外した表紙もいいし、各章の扉も1つずつ別のデザインだったりして凝っている。細かいけど、昔の文庫本みたいにページ上部の高さが揃っておらず、ぎざぎざになっていたり、しおりのひもがついていたりというところもレトロな感じ。

少女的(ガーリッシュ)な感性を持っている小説あるいは随筆を1作ずつ紹介していくという形で、紹介される本は小説が多く、なかでも結婚しておらず、労働もしていない女の子が主役のものが多い(例外もあり)。だから学園ものも多い。

読みながら、あとで手に入れて読みたいと思う本のページを折っていったら、なぜか私が読みたくなったものは本書の前半に集中していた。おそらく前半の方が有名な作者が多く、実験的なものは後半に多いのではないだろうか。前半で紹介されていた本は、以前から別のところからも情報を得ていたからというのもあるかも。

個人的に読みたくなったのは以下のとおり。

本の紹介だけでなく、本書で紹介している代表的な「ガーリッシュ的作家」の略歴紹介とともに評論が挟まっている。

 一九七〇年以降、教養したい男子たちは、大衆化した大学のジャズ研究会やミステリ研究会のような、マッチョで教条主義的でホモソーシャルなサークルに集まります。
(略)
 ここにあるのは、特定ジャンル内の情報を網羅し、その量をもって教養となすという発想です。守備範囲を先に決めておき、そのなかに位置するアイテムをひとつひとつ、すべてチェックしていくことが理想とされます。
(略)
 「哲学」「アート」「ロック」「ミステリ」「SF」、なんでもいいのですが、教養派は歴史的連続性と体系性がある(ように見える)ものが大好きです。そのジャンルの本質、イデアというか理念系のようなものを心に抱く、永遠の少年たちとでもいいましょうか。なにより大事なのは、ロックと非ロック、ミステリと非ミステリの区別をすること。
(略)
 だからむかしから、一人称複数の「ぼくたち」がとっても大事です。同じ大学に行ったとか、同じ太平洋戦争や学園紛争や「一年戦争」を体験したとか、(中略)そういう共通体験をもとに「ぼくたち」の輪郭が決まる。あとは腹芸。

「典型的男の子文化」をこんな感じに評して、その一方で女の子文化として昔のOliveや「ライフスタイル的嗜好」を挙げている。

ライフスタイルにおいては「体系」や「本質」などというものよりも、美意識や流儀や私的な好悪が優先されます。
 本で言うなら、それを手もとに置きたいかどうかは、その本が文学史においてどのジャンル、どの流派に分類されるかという外因ではなく、その本が自分の本棚に似合うかどうか、あるいはその本を置くことによって本棚がより自分好みになるかどうか、といったこちらの事情で決る、という考えかたです。
 森茉莉にとって〈文学〉や〈芝居〉が〈タルト〉や〈グラッス〉と並べられることに意味があったように、ライフスタイル嗜好においては、岩波文庫赤帯や新書館《For Ladies Series》や講談社文藝文庫が、ワードローブやインテリアと同居することに価値があります。

しかし、女の子趣味を無条件に賞賛しているかというとそういうわけではない。

自分の脳内少女を抑制せず甘やかし放題に甘やかした自称乙女の、ウェブ上の私語りには、ディスプレイの前の読み手を硬直させることメドゥサの首のごときものがあります。

こういう視点があるので、選んだ本の中にも無意味に甘いだけのもの、作品としてゆるいものは入っていないのだろうと思う。

Tags: Book Women | Bookmark:
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