2004-08-03 (Tue) [長年日記]
#1 服を買うことと本を買うこと
出版業界全体に対する意見としてはおおむね同意。ただ、雑誌は女性誌だけが異常にいいんだよね、広告収入が。だから、今年も何誌か創刊されるらしいんだけど。
雑誌は、広告収入があって成り立っている。だから、ほとんどの雑誌には背景とする業界があり、そのお金が還流する。その結果、「出版業界」としてひとくくりにできる部分だけではなく、それぞれの業界を反映する部分も持つ。
しかし、日本の若い女性の見た目にかけるエネルギーは異常だよ。ニューヨークとパリに行ったことがあるけど、日本の地方都市の方が、よっぽど金のかかった服装の女の子が歩いてるよ。
ここ数年のうちに完成した、丸ビルとか六本木ヒルズみたいな再開発ビルって、結局ほとんどこの手の雑誌に広告出してるようなブランド服屋ばっかりだし。なんで彼女らはそんなに金持ちで、しかも「自分磨き」とやらに費やす時間もありますか?実家通いで楽な仕事してるからですかそうですか。
(とくに日本の)女性ファッション誌の持つ価値
だから、今のところ女性ファッション誌というのは読者にとってwebには代えられない価値を持っているのだろう。@cosmeとかも流行っているらしいし、セレブ(笑)のインタビューつきの美容情報・通販サイトというのもあるけど、雑誌に比べると存在感が薄い。
しかも、あんなに広告だらけにしては明らかに高い。月刊誌で600円〜800円くらいする。アメリカのVOGUEなんて3ドルとかだし(その分、内容は日本版ほど高級誌っぽくない。紙質も良くない)、雑誌に何枚も挟まっているはがきを使って定期購読すると1冊1ドル台にまで下がるのではなかったか。
ファッションとインターネットの相性
伝統的に出版・新聞の守備範囲とされてきた、報道・言論というものとインターネットの相性がいいこととは反対に、ファッションとインターネットの相性は悪そうだ。webでファッション関連の広告を見かけることは少ない。アパレル企業側からすると、ディスプレイによって商品の色合いが違って見えたりするのがいやなのかもしれない。
私は数年前、画像がさくさく見られるような高速回線が普及したら、ファッション誌はwebに取って代わられるのだろうと思った*1が、そうでもないらしい。
アパレル業界が、インターネット導入が進んでいない世界だということにも関係あるのかもしれない。どこの百貨店にもありそうなブランドでも、公式ホームページのないところは珍しくないし、あっても簡単な会社案内だけだったりする。でも、インターネットの導入が進んでいないのは、そもそも導入してもメリットがなさそうだからだ、という考え方もある。
都会の機能=IDが付かないもの?
上で、再開発ビルのことを書いた。また、以前ある外人が「百貨店をうろつくのが、日本人カップルにとってはデートなのか!」と驚いていた。青山ブックセンターの倒産をオンライン書店の進出と結びつけて考える人は多く、都市の文化展示機能がうんぬん、という話もある。映画は家で見られる、本はネットで買うとなると、まだ残っている都市の機能のなかでかなり大きいのは「服を買う」ことだろう。
本については今はそうだとはいえないが、今でも、服との最初の出会いは店舗であり、そのままリアル店舗で買う場合がほとんどだ。服をオンラインで手広く売っているのは、ユニクロとか無印良品のような、メーカー直販の安めのカジュアル服の場合くらいだ。
ただ、特定の服との「最初の出会い」は店舗でも、そのブランドや店舗(セレクトショップとか)については雑誌などであらかじめ知っている場合が多いだろう。一般的に、雑誌広告の効果はここまでで、具体的な個々の製品を知らせるというところまではいかないと思う。
私は、「このブランドのこの服が欲しいのに自分のサイズだけない!」とか「色違いがあるはずなのにこの店にはない!」というのがいやなので、服も早く商品IDでネット検索できるようにならないかと思っている。もし、服を型番指定して情報を集めることができれば、いくら試着や直しが必要でも、一枚の服が売れるまでの流れのうちで、リアル店舗の役割は低下することになる*2。
この点、ある書評に出ていた本が欲しいと思ったら、書名で検索すれば、いくつもあるオンライン書店から買えるし、書店の店頭で探すこともできる。オンライン書店は「最初の出会い」としては、立ち読みできないというデメリットがあるが、目次やレビューを載せたり、アフィリエイトを利用したりして、内容そのものは見せずに推測させ、買おうと決心させる仕組みを作った。
いまのところ、
- ID指定できない商品―雑誌(その他の既存メディア)広告―リアル店舗
- ID指定できる商品―ネット広告―オンラインショップ
という大きく分けると二つの流れがあるように思う。
「なんでもID」という流れ
最近は、このように商品名を指定しやすい本やCDだけでなく、キッチン用品や“
”までアマゾンで買える。はてなダイアリーのJAN/EANというのも、すべてのモノにIDをつけてネットで扱えるようにする試みだ。服にもこういうID自体はついているみたいなんだけど、これによって欲しいものの在庫を確認できたり指定して買ったりできるかというと、たぶんできない。
JAN/EANで指定される商品は、楽天のアフィリエイトシステムにリンクしている。もちろん楽天としては、みんながもっと商品をID指定して話し合うようになってもらいたいだろう。漠然と「フライパンは便利だ」というのでは足りなくて、「このメーカーの○○はこげつかなくていいよ」というレベルで。近所のスーパーでフライパンを買うとき、そのメーカー名や型番なんてほとんど考えないが、ネットなら、買う過程でどうしても意識してしまう。
JAN/EANで使われている番号は、もともと、売る側が商品管理のために利用していたものだ。しかし、アフィリエイトの浸透もあって、消費者と売り手の境目が今後はもっと曖昧になっていくだろう。


ツッコミ入りRSS

化粧品の場合は、一度合えばリピートで買って貰える確率が高いので、ネット購入は便利そうです(いつもそうなって欲しいと思ってます)が、売る側にとっては新商品を売り込むのにはやはり店舗に来て貰わなければならないので、まだまだネット販売のデメリットが大きそうです。
こういうサイトもありますね。<br>http://www.stylife.co.jp/<br>関連雑誌(購入可能なファッション雑誌)もあるようです。
nijimuさんの言われる化粧品の新規売込みにも、ネットでやれる手段が何かありそうに思うのですよ。今はそこまでやっていないとしても。現に雑誌に広告は出しているので、最低限同じことはできるはずだし。<br><br>私はあの化粧品売り場の人と話して売り込まれるのがいやなのですが、それは逆に考えれば販売する側のメリットなのかも。<br><br>トモコさんの紹介されたようなサイトも、もうあるんですね。でも、実際店頭にあるものより、商品数は少ないような気がします。もともと通販雑誌というのはあるわけだし、今後も増えるんでしょうね。