2004-06-29 (Tue) [長年日記]
#1 宮本みち子『若者が《社会的弱者》に転落する』(洋泉社新書y)
タイトルどおり、いまの経済社会状況下で若者は割を食っているという、『仕事のなかの曖昧な不安』に近い内容。扱う話題はこちらの方がよく言えば幅広く、悪く言えばどれもつっこみが足りない印象。本書のためのオリジナルの調査は特にないようで、関連テーマのあちこちの調査をつなげて、言いたいことを言うというタイプの本。
ヨーロッパ中心に海外の若者の話(十代のホームレスがいる一方、人生の選択肢が広がり、大学入学前や卒業後に1年程度海外生活をしたりする。同棲も多い)をしたり、親子関係に関する調査結果が入っていたりする。エスピン・アンデルセンがよく引用されている。
本書では、会社の若者はお愛想笑いを浮かべながら自己主張をせず働いており、中高生は無気力で…と、調査で実証されていないことについてまで、個人の内面を推測する書き方があちこちに見られる。その描写が非常にステレオタイプで、まるで新聞の社説みたいだ。
一例を挙げると、
休日になると昼過ぎまで寝ているという中高校生がいる。(中略)小学生時代には輝いていた子どもたちが、なぜか、中学・高校と進むにしたがって輝きを失っていく。 (p.119)
これは、なにかの調査結果ではない。著者が、たまたまそういう人に出会ったというだけだ。その中高生は平日は輝きまくっていて休日は疲れているのかもしれないし、小学校時代から休日は昼過ぎまで寝ているのかもしれないではないか。こういう文章が挟まれているのでいちいちつっこみたくなってしまうのだ。
若者を親と別居して自立させなければいけないとか、奨学金やローンを充実させて大学の学費は自分で負担させよという議論なんかは、「スタンダード反社会学講座」の方が、文章が面白い上に事例が具体的でおすすめ。「アメリカでは自立心が大事なので、親は大学の学費を負担しない(出典なし)」みたいなことを言っているが、下の「反社会学講座」では38%の学生はローンを使っていない(こっちも出典はないが)*1とあるし。
- http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson4.html (パラサイト・シングルの話)
- http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson14.html (大学の話)
*1 リンク先 http://mazzan.at.infoseek.co.jp/lesson14.html の本文中に「商務省センサス局(国勢調査をやってるところ)のレポート」とありました。お詫びして訂正します


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あちゃー買っちゃった。まだ読んでないけれど。<br>ここを読んでから買えばよかったです。
あーー。言ってくれればあげたのに。蔵書公開して出会い系もいいけど、友達同士の本の交換に使うのもいいかも。