2004-06-14 (Mon) [長年日記]
#1 岩田靖夫『ヨーロッパ思想入門』(岩波ジュニア新書)
まず、この本は岩波ジュニア新書から出ているが、これを読みこなせるのは「ジュニア」じゃないよ。できるだけ易しく書こうとはしているのだろうが、言おうとしている内容がそもそも高度なので、大人向けだと思う。
全体を3部に分けている。
- 第一部 ギリシアの思想
- 第二部 ヘブライの信仰*1
- 第三部 ヨーロッパ哲学のあゆみ
ギリシアの理性主義、優れた人がその優越性を存分に生かし、より多くを手に入れる、とする考え方と、キリスト教の、万人に平等、愛が大事、貧しい者こそが天国に行けるという、ある意味相反する考え方の両方がその後のヨーロッパ哲学にずっと流れている、というのが大まかな内容。
こういう明快な切り方をした本は今までなかったのだろう(ヨーロッパ思想について研究しているわけではないので、よく知らないが)。そういう意味ではとてもよいお勉強本だった。この本は、去年のSPA!の新書大賞で一位だったというので買ったのだけど、それも納得。
しかし、この本の本来の目的ではないはずのところで引っかかった。著者が日本人なのに、本書中のヨーロッパは「ヨーロッパの中にいる人にとってのヨーロッパ」であり、「世界の中のヨーロッパ」や「アジア人の見たヨーロッパ」ではないのだ。
「ギリシア人の実現した民主主義が理想」みたいなことを言うのだが、古代ギリシャって奴隷と女性の人権はなかったんでしょ?とか、それってヨーロッパ人にとってだけの理想なのか、それ以外も込みなのか、そうだとしたらその根拠はどこに?とか、そういうことが気になってくる。ただ、このこととは関係なく、本書はその目的である「ヨーロッパ思想に入門する」という役割を十分に果たしている。
*1 ユダヤ教とその発展形としてのキリスト教について
#2 SPA!の新書大賞ベスト10(2003年)
ついでに載せておく。
【総合】新書スレッド@シリーズ【4】より。
328 無名草子さん sage 03/12/19 02:23 今週号のSPA!で新書特集やってますね。 「決定!2003年新書大賞」選者は、呉智英、宮崎哲弥、永江朗の3氏。 選ばれたベスト10は 1.岩田靖夫「ヨーロッパ思想入門」岩波ジュニア 2.中西寛「国際政治とは何か 地球社会における人間と秩序」中公 3.東谷曉「エコノミストは信用できるか」文春 4.武田徹「戦争報道」ちくま 5.竹内洋「教養主義の没落 変わりゆくエリート学生文化」中公 6.内海夏子「ドキュメント女子割礼」集英社 7.鬼界彰夫「ヴィトゲンシュタインはこう考えた 哲学的思考の全軌跡1912-1951」講談社現代 8.橋爪大三郎「人間にとって法とは何か」PHP 9.石井政之「肉体不平等 ひとはなぜ美しくなりたいのか?」平凡社 10.島本慈子「ルポ解雇 この国でいまおきていること」岩波 3氏による鼎談や、ジャンル別ベスト5もあり。
このうちで私が読んだのは1位(上の日記)と5位。
via http://diary.yuco.net/20040614.html#p02 SPA!でそんなことやってたのね。選者が呉智英、宮崎哲弥、永江朗。他の2人はともかく呉智英はSPA!のイメージじ ...


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