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2004-07-01 (Thu)

#1 竹内洋『教養主義の没落』(中公新書)

ある時代までは「大学生は(とくに文学や哲学の本を)読書し、教養を身につけ、人生に悩むものだ」といった考え方があった。

このような考え方がどのように生まれ、そして消えていったかを、本書によれば上記のような考え方のバリエーションと言えるマルクス主義や、岩波書店(とその社長)が持つ教養文化に占めるポジションとか、石原慎太郎がある時期から左翼的な考え方に嫌悪感を持つようになった理由とか、昔の東大文学部生の他学部と比べた特徴などを紹介しながら解説する。


日本では、都市に住む上層階級は、名門大学に行くなら理工系を選ぶ傾向があり、文学部には地方出身者が多かったが、これはフランスの傾向とは逆だそうだ。フランスの名門大学の文学部(にあたる学校)には上流家庭の子弟が多かった。なぜなら、フランスでの教養とは上流文化との親和性が高いものだからだ。言語能力に左右される文系は、本をたくさん持っていたり、上流階級特有の物言いに慣れているほうが有利だが、理系の学問や技術なら、スタートラインの差はもっと小さい、という考え方だ。

一方日本では、教養というのはあくまでも「欧米からの輸入モノ」だった。「江戸の町人文化」などとは対極にある、「田舎から出てきて東京で頑張ります」的な人々のものだった。ヨーロッパでは、ドイツには比較的日本と近い傾向があったとしている。


本書では、大学紛争以後、大学が一部のエリートが行くものではなくなり、卒業生の就職先もグレーカラー*1が増えるようになったころから重視されてきた教養を「大衆教養主義」と呼んでいる。読書など、古い意味での教養が重要視されなくなり、代わりにサラリーマン社会に適応するためのテレビ番組などの大衆文化的な知識や人付き合いが重要視されるようになった。

この点、教育について、貧しくて教育を受けられないという人がいなくなってきて「教育システムの中で頑張れば誰でも良い学校に行ける」という考え方が浸透した社会を「大衆教育社会」とする『大衆教育社会のゆくえ』とあわせて考えると、「大衆教育社会」が実現したことで「大衆教養主義」が成立した、と言えるだろう。

本書は、教養主義というのは昔は対面で伝えられたものであり、そういう部分を現在の大衆教養主義は失っている、として終わる。しかし、そういう教養人の先生や先輩に出会えなかった人にもチャンスを与えるものとして、いまはインターネットが役立っていると思う。私の場合、自分の読む本選びでは「教養を復活させよう」ということをネットで唱えている人の書く本、薦めてくれる本にずいぶんお世話になっている。

本書は2003年SPA!の新書大賞ベスト10で5位だったそうだ。

*1 サービス業。ホワイトカラーとブルーカラーの中間というような意味だろう

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2005-07-01 (Fri)

#1 ドレスデン国立美術館展

ドレスデンという地味なテーマな割に混んでいて、工芸品に見入る老夫婦という感じの人たちが目立った。地域の説明がしっかりされていたり当地の工芸品が多かったりしたが、個人的には別にドレスデンとかドイツにすごく興味があるわけでもなく、工芸品が思ったよりも多かったが一種類につきひとつ見れば十分という感じ。

後半になってフェルメールだレンブラントだと油絵の大作が出てくる。私はこのへんが目当てだったのでそれなりに堪能しました。

国立西洋美術館に来たときは特別展と同じくらいの時間をかけて常設展も見る。ここはさすが国立最大の西洋美術館だけあって常設展もいいので、ここに行かない人が多いのはもったいないと思うのである。建物の感じも特別展より落ち着いていて好きだ。でもあまり人が来すぎると環境が悪くなるから今くらいでいいかな〜。

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